家庭できのこを栽培する方法を解説!栽培キットは使いません
どうも、元きのこ研究者のもれ郎です。
「家できのこを育てたい」。本ブログは、そんな想いをお持ちの方のために情報発信をしています。今回はついに、きのこ栽培キットを使わずに、きのこを栽培する方法を通しでご紹介したいと思います。
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みなさんは、なぜきのこを育てたいのでしょうか。
「栽培キットは物足りない。もっと高難易度な栽培にチャレンジしたい!」
「きのこを安く栽培して、生活費の足しにしたい!」
「きのこでエコなライフスタイルを過ごしたい」
「おしゃれだと思って」
はい。良いと思います。とても良いですね。しかし、自宅できのこを育てる方法は、調べてもなかなか情報がありません。プロの生産者向けの情報であったり、研究開発的な内容であったり、なかなかすぐに使えるアイデアは少ないのが現状です。
「きのこ栽培始めてみようかな」と思っても、どうやればいいのかわからなければ考えようがありませんね。そこでこの記事では、もれ郎が自宅で実践している、栽培キットを使わないきのこ栽培の方法をご紹介していきたいと思います。
なお、事前に準備しておくべき道具などは自宅できのこを栽培するのに必要な設備、道具一覧 - さかなきのこを読んでみてください。
【目次】
1.培地をつくる
まずは、きのこの餌となる培地を作ります。
培地の材料には、おがくずやコーヒーかすといった植物質を入れます。ちょっと変わり種としては、紙も使えます。
例えば、次のような組成で培地を作ってみましょう。
- コーヒーかす+米のとぎ汁
- おがくず+米ぬか+水
培地は、固形分をよく混ぜたあと、水分を足してまたよく混ぜます。培地の水分は多すぎても少なすぎてもダメです。培地をぎゅっと握ったとき、水が滲み出てくるくらいがちょうどいいとされています。
つくった培地は、瓶や袋などの栽培容器に詰めます。培地は、栽培容器の容積の3-6割くらいの重さを目安に詰めましょう。
例えば、1Lの容器に詰めるのであれば600gくらい詰める、といった具合です。ただ、この目安は栽培容器の形次第では変わってきます。何回かやってみて、「この容器にはこれくらい詰まる」という感覚を身に着けましょう。
また、培地には何箇所か孔を開けておきます。こうすることによって、容器の底に素早く菌糸が伸びます。瓶のような背が高い栽培容器だと、極めて効果的です。
ちなみに、栽培容器を自作することも可能です。作り方は、【自作】家庭できのこ栽培できる容器を身近なもので作ってみた(1号器) - さかなきのこに書きました。通称「キンデル1号」です。
2.培地を殺菌する
培地を詰めた容器に蓋をして、圧力鍋で加熱して殺菌します。加熱時間が短いと雑菌が生えてきますが、逆に長すぎると培地成分が分解されたり、空焚きになって危険です。
結局これも培地や容器次第なのですが、60-90分くらいは圧力がかかように加熱するのが目安です。材料が大粒であったり水分が多めの培地、また大量の培地を殺菌する場合は長めに時間を取りましょう。
高温高圧殺菌については、きのこ栽培用の培地の殺菌方法。圧力鍋で培地を殺菌しよう! - さかなきのこにも書いています。こちらもあわせて見てみてください。
3.種菌を接種する
殺菌した培地に種菌を接種します。無菌的に操作をする必要があるので、多少の慣れが必要です。接種の際だけ栽培容器のフタを開けて種菌を植えます。接種する環境として、ホコリや雑菌が入りにくい空間と、火元が必要です。雑菌が入らないよう、慎重かつ手早くやりましょう。
ホコリや雑菌が入りづらい環境を準備しておくといくらか安心です。簡単な防塵ブースであれば、数百円で作ることもできます。火元は、種菌をほじくるスプーンを炙って殺菌するために必要です。火傷をしないよう気をつけてください。
関連記事:
【自作】きのこ栽培の接種用ブースを200円程度でつくってみた。 - さかなきのこ
【家庭きのこ栽培】無菌操作が失敗続きの方にお伝えする10のコツ - さかなきのこ
また、接種する種菌の量を多めにすると、コンタミ(雑菌が生えること)しても挽回できることがあります。慣れないうちは、もったいながらずに多めに種菌を接種するのが良いでしょう。
ちなみに、種菌の一般的な接種量はというと、培地表面にざっと広がるくらい……キンデル1号で言うと、大さじ1-2杯分あれば十分だと思います。これはもれ郎の感覚です。
種菌はメーカーから購入することもできますし、自分でも作ることができます。種菌から作りたいコアなきのこ栽培家さんは、きのこの種菌の作り方を解説!(材料、方法、注意もあるよ) - さかなきのこを見てみてください。
関連記事:きのこの種菌の買い方を解説。どこで何を買えばいいの?気を付けることは? - さかなきのこ
4.きのこの菌を培養する
きのこの菌糸を培地全体に生長させて、きのこに培地を食べさせます。これを「培養」と言います。菌糸が培地全体に伸びるまで培養します。その後も、必要に応じて培養を続けて熟成させます。
培養する環境は、とてもおおざっぱに言えば、人が住める環境であればなんとかなります。20-24℃くらいで、極端に乾燥していない、暗めの場所で培養しましょう。
5.きのこを発生させる
培養が終わったきのこの菌は、刺激を与えることで「きのこ」として生え始めます。
まずは、培地の表面を、スプーンか何かで軽く削り、掻きとります。これを、菌掻き(きんかき)と言います。
次に、数時間水に浸して、培地に水分を供給させます。
そして、水を捨てた後にきれいな赤玉土で表面を多い、保湿します。
ちなみに、このような刺激を与えなくても発生することはありますが、やったほうが確実です。
きのこが生えてくるまで、赤玉土に霧吹きで水をかけて培地が乾燥しないようにします。数日すると、きのこの芽が生えてきます。芽が生えてからは、数日から1-2週間で収穫できるようになります。気温が高いほうが、きのこの生長は早いです。
きのこが大きくなるまで、乾燥させたり、逆に水をかけすぎたりしないようにしましょう。きのこ自体が乾燥しない程度に水をあげればOKです。
また、きのこには光を当てるようにしましょう。明るさは、部屋の明かり程度で十分です。光の当て方によって、きのこの形が変わってきます。暗いと、ひょろながのきのこになったりします。きのこというと、なんか暗くてジメジメしたところが好きそうなイメージの方が多いのではないでしょうか。なんか逆のような気がして、不思議ですよね。
6.収穫
きのこが大きくなってきたら、収穫します。
きのこの収穫時期は、これといったルールはありません。市販のきのこの見た目をイメージしつつ、腐ってしまう前お好みのタイミングで収穫してしまいましょう。そして、おいしく召し上がってください。
また、栽培後の培地は、何度か再利用することもできます。初回に比べて収穫量は減りますが、挑戦してみてください。
おわりに
今回は、栽培方法の一例をご紹介してみました。ただ、ここに書いてある方法は絶対でもなければ、最適化された方法でもありません。今お伝えできる情報を、精いっぱい書いた内容です。ですので、これから何回も何回も書き直して、より良い記事に拡充していくつもりです。
もれ郎もたゆまずに家庭きのこ栽培の経験を積み重ねていきます。新しい情報を仕入れれば、それも取り入れていきたいと思います。この記事は、そんなまとめ記事にできればいいなと思っています。今後もたまに見に来てもらえればうれしいです。
それではみなさん、よいきのこ栽培ライフを。
もれ郎