【シイタケ栽培】栽培キットを使わず家庭にあるものだけでシイタケを栽培した【ぜんぶ自作】
あれ、自分でもつくれるみたいですよ。
どうも、元きのこ研究者のもれ郎です。
ついに、家庭きのこ栽培でシイタケの栽培に成功しました。
成功したといっても、「ほっといたら生えてた」んですけどね……。
さあ、見てください。こちらです。
あ、待ってください!わかりますよ、みなさんの考えていること。「なんか違くない……?」でしょう。
もれ郎だって知ってますよ。栽培キットだと、培地を外に出してドームみたいなやつとか大きめの袋の中で発生させるんですよね。
今回のやつは、いわば「栽培キットを買ってほっといたらこうなる」状態です。容器の中できのこが生えてしまいました。でも、ちゃんとシイタケでしょう?
いずれにしても、これはコーヒーかすと米ぬか、タッパーとマスク(とビニールテープ)、そして水だけで栽培したものです。これでようやく皆さんに、ご家庭でシイタケを栽培する方法についてお伝えできます。
まあ、もれ郎はずぼらなのでこんなんになってしまいましたが、このブログの読者さんのほうがその辺上手にできるはずです。これから方法を書いていきますので、ぜひ挑戦してもれ郎より上手に栽培してみてください。
【目次】
1.用意するもの
培地材料(自作容器キンデル2号 2個分)
- コーヒーかす(540mLくらい)
- 米ぬか(180mLくらい)
- 水(300ー40mLくらい)
栽培容器(自作できます:【自作】小型のきのこ栽培容器を100均グッズで自作した(2号器) - さかなきのこ)
自作しない場合は、栽培袋を売っています。
注意:シイタケ栽培の場合は培地の側面からきのこが生えることが多いため、背が高い容器を使うことを強くおすすめします。つまり、キンデル1号はダメです。
種菌(自作できます:きのこの種菌の作り方を解説!(材料、方法、注意もあるよ) - さかなきのこシイタケでもやり方はおなじです。)
注意:自作する人は、菌床栽培もののシイタケから分離して作りましょう。原木シイタケや売り物の原木シイタケ用種菌はうまくいかないこともあります。
2.栽培方法
2.1.培地づくり
コーヒーかすと米ぬかを混ぜてから、水を加えてさらによく混ぜます。
水の量は微調整します。培地をぎゅっと強く握ったときに、水分が染み出てくるくらいがちょうどよいです。最初にいれすぎないようにするのがコツです。水を入れすぎたら、コーヒーかすと米ぬかをちょっと足してやりましょう。ただ、あまり神経質になることはありません。
培地を混ぜ終わったら、容器に詰めましょう。ヒラタケと同じで、容器の容量に対して6割くらいの重さを詰めます。
キンデル2号を使う場合は、最大300gくらい入ります。別にもっと少なくても大丈夫です。最初に紹介した写真のやつは、180gしか入れていません。
ただ、培地=きのこの餌ですし、培地の量が少ないとシイタケが発生しやすい側面の面積が減ってしまいます。あまり少なめにしないほうが、失敗しづらいかもしれません。
タオルを使ってきのこを栽培しよう!リサイクル可能でエコな方法をご紹介! - さかなきのこ
培地は容器をトントンと軽くたたきつけるながら入れると、よく詰まります。最後に上から押しつけますが、力ずくでなくてOKです。容器をひっくり返して、培地が落ちてこない程度には固めてください。
そして、表面を平らにならしたら、鉛筆などの棒を突き刺して1~数か所に孔をあけましょう。孔は底まで通します。
棒を抜くときは、くるくる回しながら抜くと孔がきれいに残ります。
この孔は、菌糸が全体に伸び広がるための高速道路のような役割を果たすものなので、多少埋まってしまっても大丈夫です。
2.2殺菌
殺菌方法はなんでもいいのですが、今回は電子レンジをつかって殺菌してみましょう。
容器を1つずつ、600Wで2-3分間チンします。
かならず耐熱容器をつかってください。蓋が耐熱じゃないタッパーがよくあるので、自作する方は要注意ですよ。
チンの時間はこれまた目安です。全体がアチアチホットになっていることは必要ですが、あまり長時間チンすると培地が膨張して崩れることがあります。かといって、あまり短時間だと殺菌が不十分で雑菌がわいてきます。長めにしておくのが無難です。
殺菌不足の見極めは【FAQ】接種してすぐに雑菌にやられて失敗します。対策はありますか。 - さかなきのこに書いたので、雑菌にやられて失敗する方はちょっと参考にしてみてください。
圧力鍋をつかって殺菌することもできますよ。詳しくはきのこ栽培用の培地の殺菌方法。圧力鍋で培地を殺菌しよう! - さかなきのこを見てみてください。
2.2シイタケ菌の接種
培地の殺菌が終わり、室温程度に冷めたらいよいよ種菌を接種します。
栽培キットしか経験がない方には、いちばん難しい工程になります。
火であぶったスプーンで種菌をかき出し、さっと接種します。
言葉で書いてもなかなか伝わらないので、実際に見てみましょう。以前Twitterに載せた動画を紹介します。
これ参考になりますかね。培地に種菌接種してます。無編集一発撮りなのでガチャガチャうるさいですがご了承ください。
— もれ郎 (@iammorelaw) January 9, 2021
あと、映り込みがあったら消します(笑)#きのこ #キノコ #家庭菜園 #栽培 #きのこ栽培 #接種 pic.twitter.com/xi2qDj0DKB
2.3 シイタケの培養、発生操作
培養はだいたい2-4か月くらいかかります。こちらは、培地の大きさに比例しますね。キンデル2号を使うと2か月4か月*ぴったりくらいできのこが生えてきてしまいましたので、これくらいが培養適期です(9月中旬7月中旬*に接種した場合)。冬だともう少し長くかかると思います。
※12/27追記:実験ノート見直したら別のロットであることが判明したため訂正。
培養は、室内の適当なところに置いておけばOKです。菌糸が培地全体に伸びて、培地を食べて生長していきます。
注意点ですが、ヒラタケのように真っ暗な場所で育ててはいけません。一日に数時間光が当たる環境が理想です。部屋の明かりでも十分ですし、北向きの部屋の窓近くもいいかもしれませんね。
真っ暗な場所で培養すると、きのこの芽(原基:げんき と言います)ができないため、シイタケが生えてこないのです。
特にシイタケは培養期間中に培地内で原基形成するため、培養後期に光を培地に照射して原基形成を促進する操作が行われています。
(外部リンク:PDF)LEDを利用したきのこ栽培~きのこ栽培における光の効果~ 独立行政法人 森林総合研究所
↑この冊子いいですよ。いろいろなきのこの栽培について基本の栽培方法が載っています。初心者ならず必読です。
温度は人が住める環境くらいであれば大丈夫です。適温は確か25度前後だったと思います(今度調べて載せておきます)。
シイタケの場合、最初は白い菌糸が伸びます。その後、元あった菌糸のあたりがぼこぼこ盛り上がってきて茶色く変色します。これは正常な反応で、コンタミ(雑菌汚染)ではありませんのでご安心ください。
そして、半分くらいが茶色くなったら発生させてしまって大丈夫です。あるいは、今回のもれ郎のようにきのこが容器内で生えてしまったら、それは「辛抱たまらん」状態です。この場合も、発生させてしまいましょう。
発生操作は、きのこ栽培キットに準じていいと思います。水に浸してから湿度が保てる場所に放置です。
(外部リンク)きのこ栽培塾 ⁄ 家庭で簡単菌床栽培 ⁄ しいたけ栽培キット
もれ郎も、容器でつぶれていたきのこを収穫して、たった今水に浸しているところです。
ちなみに、容器を逆さにしてトントンと軽くたたきつければ、培地が塊でころんと取れます。こうして培地表面を傷つけないようにすると、後の栽培に悪影響がなさそうですね。
(11/19補足:その後の経過が得られ次第、写真と一緒に順次掲載、更新します。お楽しみに!)
(12/27追記:これまでで3回発生しました。記事はおいおい更新します!)
終わりに:
というわけで、まだ栽培がはじまったばっかりなのですが、あまりにうれしかったため記事にしてしまいました。
このブログに来る方はシイタケ栽培に興味があるかたが多いみたいだったので、ようやく記事にできて一安心というところです。
この記事自体もぼちぼち更新していくので、もし今回の方法で結構うまくいくようであればぜひ真似してみてください。
とりあえず、もれ郎は2.5個のフレッシュなシイタケが手に入ったので大満足です。どうやって食べようかなー。
もれ郎