【FAQ】接種してすぐに雑菌にやられて失敗します。対策はありますか。
培地の殺菌に失敗しているか、接種に失敗している可能性が高いです。まずは原因を見極めましょう。
どうも、元きのこ研究者のもれ郎です。
最近手を動かしていないので書くネタがありません。
そんなこんなで始めたFAQコーナーですが、第2回にして早速妄想QAコーナーになってしまいました。
ということで、今回は雑菌汚染(コンタミ)の話です。
・きのこの種菌を接種してすぐに雑菌が生えてきてしまった
・原因がわからないけどよく失敗する
・ある時期を境に急に失敗するようになった
こんなお悩みをお持ちの皆さんが、きのこ栽培を嫌いになってしまわないよう、もれ郎は知恵をしぼってみます。
本題に入る前に一番大事なことを言っておきますが、絶対に雑菌にやられない方法はありません。
誰だって一度くらいは失敗します。きのこ栽培ってそういうものです。雑菌目に見えないし。
しかし、雑菌が生える原因を推測して、その対策をとることはできます。
この記事では、その一連を書いて、自分で改善策を立てられるようになるヒントを書いてみようと思います。
今手元に雑菌まみれの培地があるそこのあなた、それを横に置いてさっそく読み進めてみてください。
【目次】
- 雑菌にやられる原因を確かめてみよう
- 培地の全体から雑菌が生えてきたら、殺菌工程を見直そう
- 培地の上部から雑菌が生えてきたら、無菌操作か栽培容器か環境を見直そう
- 培地の底から雑菌が生えてきたら、丁寧に培地詰めをしましょう。
- 余談:きのこ栽培キットで雑菌の被害が少ないのはなぜ?
- おわりに:慣れれば失敗も減ります
雑菌にやられる原因を確かめてみよう
雑菌の生え方は、大きく次の3つのパターンにわけることができます。
①培地の上から下まで全体から生えてくる
②培地の表面、上部から生えてくる
③培地の底から生えてくる(袋を使っている場合)
②は見極めるのが難しいかもしれませんね。特に雑菌の菌糸を見慣れていない場合。
きのこの種類にもよるのですが、白くて太くてまっすぐ目な菌糸、これが食用きのこの菌糸に多い特徴です。
一方で、緑色や灰色っぽい菌糸、なんだか極端に細くてクモの巣みたいになっている菌糸、変などろどろ、こういうのは雑菌です。
また、培地の底や全体から菌糸が生えた場合は、培地と種菌を混ぜながら接種した場合を除いてほぼすべてが雑菌にやられていると言えます。
さあ、「あ、これ雑菌だわ」と気づいたら、まずはすぐ上記のどのパターンであるかのを見てみるのです。
それができれば、対策を考えるのは簡単です。
培地の全体から雑菌が生えてきたら、殺菌工程を見直そう
このパターンは、培地の殺菌処理が十分でなかったことが原因であることがほとんどです。
「じゃあしっかり殺菌すればいいんだね、わかった!」という話にはなるのですが、もう少し続きます。
もう一歩踏み込んで、なんで十分な殺菌ができなかったのかを考える必要があります。
殺菌が十分でないというのはつまり、殺菌処理の強度や時間が十分でないということです。
特に圧力鍋や電子レンジなど熱を使って殺菌する場合は、熱が十分に伝わっていない可能性があります。
水分が多い培地や粒が大きい培地材料を使っている場合は、培地やその材料の中心部が温まりにくくなります。
このような場合は特に、殺菌時間を長めにとる必要があります。いつもと違う培地を使って失敗した場合は気をつけてみましょう。
培地の上部から雑菌が生えてきたら、無菌操作か栽培容器か環境を見直そう
上部から入ってきた雑菌は、殺菌後に侵入してしまったものと考えられます。
この時真っ先に思いつくのは、接種のときの無菌操作です。
接種する際は容器のフタを開けるなどで、どうしても外の空気に触れてしまいます。
このときになるべく雑菌が入り込んでしまわないように気をつける必要があります。
・手早く接種する
・接種スプーンなどの器具はきちんと殺菌する
・清潔な部屋で作業する
・空気の動きの少ない場所で火の近くで作業する
ここまで気をつけることができれば、だいぶリスクを減らすことができます。
ところが、これではまだ終わりません。接種はうまく行っても、その後に侵入してしまうこともあります。
栽培容器についているフィルターも万能ではありません。
ホコリだらけのきったない部屋、あるいは屋外など風がびゅうびゅうあたる環境では、雑菌がすり抜けてしまう可能性があります。
そんな場所で栽培していたら、簡単に改善できそうです。
無菌操作に失敗しないコツについては【家庭きのこ栽培】無菌操作が失敗続きの方にお伝えする10のコツ - さかなきのこにまとめたので、こちらも合わせて読んでみてください。
培地の底から雑菌が生えてきたら、丁寧に培地詰めをしましょう。
この場合は単純で、袋の底が破れています。
専用の袋を使っている場合はよほど気にしなくても破れませんが、おがくずなどを使って栽培していると時々破片が突き刺さって穴があいてしまうのです。
こうなる場合は培地を、ぎゅっと押し付けて成型するときに力いっぱいやらないなど、丁寧に培地を詰めることを心がけてみましょう。
余談:きのこ栽培キットで雑菌の被害が少ないのはなぜ?
種から栽培しようとするとつきまとう雑菌問題。ところが、市販のきのこ栽培キットを使っていると、そういうことはほとんど起きません。なぜでしょう。
答えは、栽培キットには雑菌が生える余地がほとんどないからです。
栽培キットは培地全体に菌糸が伸びている、発生直前のきのこ培地です。よほどおかしな管理をしていない限り、雑菌に負けることはありません。
それでも、きのこの菌糸が弱っていたり、あるいはきのこの菌糸を攻撃して食べてしまうタイプの雑菌であれば、やられてしまうことはあります。
いずれにしても、ここまでで説明してきたものとは違う理由と考えられます。
おわりに:慣れれば失敗も減ります
もれ郎もきのこ栽培をはじめた学生さんの頃、よく雑菌にやられて先生にあきれられたりしていました。
それでもやっていくうちに気をつけるポイントがわかってきたりするもので、自然と失敗する頻度は減っていきました。
きのこ栽培の方法はなかなか一般的に知られていないので、そのポイントに気づくまでにちょっと遠回りしてしまうかもしれません。
だからこそ、まずはやってみることが大切だと、もれ郎は思うのです。
家庭できのこを栽培する方法を解説!栽培キットは使いません - さかなきのこ
それでもまだ失敗するようであれば、やっぱりもう少し調べてみたり、もれ郎にDMして相談みるのもいいかもしれません。
いずれにしても、きのこ栽培の楽しいところを知らずして諦めてしまうのはとても残念だと思います。
つかえるものは何でもつかってみるのです。頂いた質問が、やがてこのブログのネタになるかもしれません。
そうするとFAQコーナーも拡充するので、win-winの関係ですね。ぜひぜひ、お気軽にご相談ください。
もれ郎