【FAQ】きのこの欠片から直接きのこ栽培や種菌づくりができますか。
できますが、あまりおすすめしません。種菌を使ったほうが失敗しにくいです。
どうも、元きのこ研究者のもれ郎です。
このブログを始めて以来、何度かいただいたご質問についてお答えしたいと思います。
ずばり「きのこの欠片から直接きのこ栽培や種菌づくりができるのか」です。
「寒天培地なんて作るのめんどくさい」
「種菌づくりなんて時間がかかる、早く栽培したい」
お気持ちはよくわかります。
結論、できます。ただし、失敗のリスクがあることを理解しておく必要があります。
【目次】
きのこ片は一粒の種菌と同じ
きのこの欠片を無菌的に取り出して寒天培地の上に置いておくと、菌糸が生えてきます。
種菌を寒天培地の上においても、同じようになります。
このことからわかるように、きのこの欠片はそれだけで種菌の役割を果たすことができます。
いうなれば、きのこの欠片は一粒の種菌です。
こう考えれば、きのこの欠片で栽培できるのはわかりますね。ただし、ここで1点だけ注意が必要です。
特に慣れていない場合は、きのこの欠片を無菌的に取り出すことに失敗します。私もたまに失敗します。
寒天培地上だと、失敗している場合はアヤシゲな菌糸が生えてきたり、どろどろの汁が出てきたりするのでわかりやすいです。
ところが、コーヒーかす等の栽培でつかう培地上だと、失敗がわかりづらいことがあります。
「気づいたらカビ培養してた」とならないよう、無菌操作(きのこの分離操作)を上手にできる必要がありますね。
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なぜ種菌や原菌があると安心なのか
では、なぜもれ郎は種菌や原菌をつくっているのでしょうか。
答えは、タイムロスを避けるためです。急がば回れとはまさにこのことと思ってます。
正直、寒天に生やす原菌はいらないかもしれませんが、種菌はマストと考えています。
それぞれ、メリットを確認してみます。
種菌は栽培失敗のリスクを減らす
まず、種菌から見ていきましょう。種菌はおがくずや穀物、バーミキュライトなどでつくります。
これらは細かい粒や粉でできているので、接種したときに散らばりやすいです。
菌糸は種菌を中心に広がっていくので、散らばっていたほうが早く菌糸が蔓延します。
これは栽培期間を早めるだけではなく、なんとコンタミに打ち勝ち栽培の成功率をあげる意味もあるのです。
例えば、きのこ栽培容器についているフィルター。もれ郎はマスクをつかっていますが、あれのフィルター作用は完璧ではありません。長く培養を続けていると、まれに雑菌が侵入してくることがあります。
あるいは、接種のときに、わずかに雑菌が混入することもあるでしょう。
そんなときでも、種菌が多めに植わっていると雑菌の繁殖を抑え込めることがあります。
これは確率的な話ではありますが、成功したいのであれば種菌を使ったほうが安全、ということが言えそうです。
関連記事:きのこの種菌の作り方を解説!(材料、方法、注意もあるよ) - さかなきのこ
原菌があればすぐに種菌がつくれる
そして、原菌のメリット。これは、すぐに種菌をつくれることです。
栽培や種菌づくりのたびにきのこを買ってくるのは、面倒くさいです。
原菌は言ってみれば菌糸のストックです。思い立った時に開封して複数の種菌をつくれます。
しかし、実際には原菌も植え替えたりして更新する必要はあります。そして、種菌から種菌を作り続けることができるので、原菌は種菌で代用できます。
以上のことから、原菌は絶対にあったほうが良いというものでもありません。きのこ栽培の頻度や栽培する種類などを考えて、好みで作ったり作らなかったりすればいいかなと思っています。
少なくとも種菌は作ることをおすすめします
同じようなことを繰り返し書いてしまった感がありますが、結局どのように栽培するかはみなさんの自由ということです。
ただ、もれ郎は種菌をつくることだけは強くおすすめしたいと思います。
ちょっと回り道かもしれませんが、まずは基本の方法できのこ栽培に成功することが一番だともれ郎は思います。
種菌づくりの期間も、きのこの種類や容器の大きさ次第ですがおおむね1か月程度です。原菌から作っても、2か月くらいの回り道です(こう書くと長いか……)。
何回かうまくいった後に、オリジナルの栽培手法を編み出していけばよいと思います。
せっかくきのこ栽培に興味をもっていただいたみなさんには、まずはその楽しさ、面白さを知ってもらいたいのです。
そんなこんなで、参考になればうれしいです。
もれ郎