【家庭できのこ栽培】超お手軽な寒天培地の作り方【菌糸生長用】
もれ郎「確かに。じゃあ、スーパーで買えるもので簡単に作れるレシピにしましょうか」
読者さん「え。いや、寒天培地作るステップなんとかなりませんか」
もれ郎「うん……それは今度でお願いします……」
どうも、元きのこ研究者のもれ郎です。
以前、寒天培地の作り方についてTwitterかブログか何かでこんな感じのコメントをいただきました。
「寒天培地作るなんてめんどいのにエビオス使うとかさらに面倒。やはりきのこから直接種菌づくりでOKでは?」(ソース見失ったため適当な再現。「これ言ったの私」という方、よろしければコメントください……。)
寒天培地の要否の議論はちょっと置いておいて、エビオスめんどくさいというのはたしかにそうです。もれ郎はエビオスの常用者かつ過去エビオス培地を日常的に作っていた人なので、エビオスを培地に使うことはなんの抵抗もありませんでした。しかし、家できのこを培養するためにわざわざエビオスを買うという人はいないでしょうね。
これも前の記事中に書きましたが、培地材料は米の研ぎ汁でもいいんです。ただ、あまり台所に立たない方からすると、これもまた準備するのが面倒かもしれませんね。もれ郎は最近台所から離れがちなので、この気持ちがわかるようになってきました。
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ということで、今日は手軽さを最重視した寒天培地の作り方を紹介したいと思います。
作り方
1.用意するもの
・容器:タネオくん1号(シャーレの代替品の耐熱タッパー。作り方はこちら。)
・野菜ジュース(たぶんなんでもいい。)
・寒天粉末
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2. つくりかた
- 野菜ジュース100mLにつき、100mLの水を加える。
- 上記の液体100mLにつき寒天粉末を1.5-2.0g入れる。
- 電子レンジで加熱し、溶かす。
- 溶かした培地を容器に適量注ぐ。タネオくん1号だと20mLくらい。
- 圧力鍋で100kPaで20分間加熱殺菌する
はい、できました。これなら簡単でしょう。
野菜ジュースは培地材料として割と知られているので安心ですね。
参考:農業生物資源ジーンバンク - マニュアル - 微生物培地調製法(外部リンク)→V-8培地というのがそれです。
シイタケを培養してみたところ、ちゃんと生長してくれました。
さらに、いくつかのアレンジがあるので書いていきます。
アレンジ1:野菜ジュースを希釈しない
野菜ジュース原液はドロドロしていて扱いづらいです。また、培地としては糖類が結構多い気がします。上のリンクでもそうでしたが、普通野菜ジュースを培地に使う時はある程度希釈していますね。
ただ、「希釈すら面倒」という方もいらっしゃると思います。
一応、原液でも培地が作れました。培地にする分には問題なさそうです。最初に紹介した培地と比べて、生長も極端に早いとか遅いとかいうことはなさそうです。
アレンジ2:漉して検鏡しやすくする
読者の皆さんにこんな方はいないと思いますが、一応書きます。
菌糸を顕微鏡観察するときにこの培地は不向きです。野菜のドロドロが観察の邪魔になることうけあいです。
そこで、コーヒーフィルターを通して濾過しておきます。ある程度は検鏡しやすくなります。
漉されたどろどろは美味しいので、捨てずにカレーにいれたりそのまま食べたりしましょう。
おわりに:きのこ栽培に「お手軽さ」という視点
冒頭にも書きましたが、今回の記事のきっかけはあるコメントでした。
このコメントはもれ郎に「お手軽さ」という視点を授けてくれました。
それまでのもれ郎は「ご家庭で簡単に」とか言いながら、その価値観の中心は「お金がかからないこと」だったことに気づいたのです。
おかげさまで今後のもれ郎の視界はいくらか開けました。いままでになかった視点で手軽なきのこ栽培を紹介できるようにしたいと思います。
たとえば、あれですね。次の標的は培地材料ですね。コーヒーかすを毎日ちまちま集めるの、もれ郎ですらめんどくさいと思ってますから。アイデアはあるのですが試せてないので、うまくいったらご報告します。お楽しみに。
もれ郎