さかなきのこ

元きのこ研究者による、きのこ栽培の魅力発信ブログ

家庭きのこ栽培は一年中できる!きのこ栽培カレンダーで時期ごとのおすすめきのこをご紹介!

きのこ栽培は一年中できる!きのこ栽培カレンダー

「きのこ栽培興味あるな」と思い始めたあなた。いつ始めようか悩んでいませんか?
今ですよ、今。うまくやれば一年中栽培できるのがきのこ栽培です。
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どうも、元きのこ研究者のもれ郎です。


これからきのこを育ててみたいんだけど、いつ始めればいいのかわからないという方は多いのではないでしょうか。きのこっていうと秋のイメージですが、秋にやるのがいいのでしょうか。


ということで、栽培するのに適した時期ってご存知ですか?


「そりゃやっぱりきのこと言えばやっぱり秋でしょ」


「山登りしてると結構夏に生えてるイメージだな」


「春に生えるきのこもありますよ。SNSで毎年大盛り上がりなんですから」


「北海道には「ユキノシタ」と呼ばれる雪に埋もれても生えるきのこがあってだね」


いずれも正しいですね。そう、いずれも正しい、これが答えです。


つまり、きのこ栽培はうまくやれば一年中できます。家庭で栽培する場合であっても、理屈の上では一年中できるはずです(もれ郎自ら実証試験中です!)。


この記事では、きのこ栽培は時期を問わずいつでもできる理由を解説します。さらに、きのこ栽培カレンダーを作ってみましたので公開します。


この記事を見れば、あなたは今すぐにきのこ栽培を始めずにはいられなくなるはずです。

一年中きのこを栽培できる理由


結論を言ってしまうと、以下の2つのことを考えたとき、きのこの種類を組み合わせさえすれば栽培不適な時期が無いためです。

  • きのこ栽培で時期(季節)の影響を受けるのは温度だけである
  • きのこの種類によって栽培に適当な温度が異なる

もう少し詳しく見てみましょう。

きのこ栽培において、時期(季節)に影響を受けるのは温度だけ


きのこの栽培工程


きのこ栽培の流れを大きく分けると、上のイラストのように【培養】と【発生】の2つのステージがあります。


培養は室内でやりますので、人が住む環境であれば一年中できます。


そして、発生では温度、湿度、光が重要になります。室内でも屋内でも良いのですが、次のことに気を付ける必要があります。

  • きのこの発生(生殖生長へのシフト)が起こる温度であること。
  • きのこ生長中に乾燥しないよう、常に高めの湿度を維持できること。
  • 部屋の照明や日陰程度の強さの光を当てられること。


これらのポイントのうち、温度や湿度はかなり簡単にコントロールできます。湿度については水遣りや加湿をすれば済みます。そして、光は上記の通りなので、家の中であれば適当な場所に置くだけです。これらは季節に左右されませんね。


関連記事:【自作】きのこ栽培容器「ショットガン・フルーティングチャンバー(SGFC)を100均の材料で作ってみた - さかなきのこ



そう、(空調で管理する場合はさておき、)季節に左右されるのは温度だけなのです。したがって、季節の気温に適したきのこの種類を選択すれば、一年中きのこを栽培することができる、というわけです。


ちなみに、植物の場合は日の長さの影響を受けたりするのでこうはいかず、ある程度時期に律速されるものがでてきます。ある意味、きのこのほうが単純だとも言えますね。

きのこの種類によって栽培に適当な温度が異なる


では、たとえば一年中シイタケを栽培できるのかというと、答えはNOです。


シイタケの発生に適当な温度(以下、発生温度とします)は10~20℃と言われています。これだと、春と秋、暖房を入れた冬の室内でしか栽培できません(ちなみに、野外のシイタケは春と秋に発生します)。


そこで、複数種類のきのこを組み合わせる必要がでてきます。


夏には発生温度帯が高めのきのこを選びます。冬には発生温度帯が低めのきのこを栽培します。それも特殊なきのこではなく、我々が普段よく食べるきのこの中にきちんといます。春と秋は比較的多くの食用きのこが栽培できます。


このようにすると、一年を通じてきのこを発生させることができるということです。


そう、きのこの種類選びさえ間違えなければよいのです。特殊な環境がなくても、一年中きのこを栽培できます。


では、いつ、どんなきのこを栽培すればよいのでしょうか。

きのこ栽培カレンダーを公開!


こちらもさっそく結論です。


もれ郎、このたび家庭きのこ用の栽培カレンダーを作成しました。こちらを参考にして、栽培するきのこを選んでみてください。


きのこ栽培カレンダー
(初版:20230721)


ここからは、もれ郎が独断と偏見と想像で勝手にチョイスした、季節ごとのおすすめ栽培きのこをご紹介していきたいと思います。

季節にあったきのこの選び方


それぞれの季節について、おすすめを書いてみます。季節は気象庁の区分に準じて以下のように定義しました。

  • 春:3月~5月
  • 夏:6月~8月
  • 秋:9月~11月
  • 冬:12月~2月

春はウスヒラタケやアラゲキクラゲを仕込み、シイタケやナメコ、ヒラタケを収穫する


春から初夏にかけて収穫するためのウスヒラタケと、アラゲキクラゲを仕込みます。


収穫面でいえば、冬に仕込んだシイタケやナメコ、ヒラタケが採れる時期です。他にもこの時期が発生適期であるきのこは多いので、うまくやればいろいろ収穫することができるでしょう。

夏はタモギタケの他、シイタケやヒラタケ、ナメコを仕込み、ウスヒラタケやアラゲキクラゲ、タモギタケを収穫する


夏は、仕込んですぐ収穫できるタモギタケや、秋の収穫に向けてシイタケやヒラタケ、ナメコを仕込みましょう。


収穫面でいえば、初夏まではウスヒラタケが採れます。他にもタモギタケやアラゲキクラゲも採れます。採れる種はあまり多くないですね。


虫が湧きやすい時期なので、カビが生えたりなんがぐじゅぐじゅしている等の痛んできた菌床は早めに処分してしまいましょう。

秋はナメコやエノキタケやを仕込み、シイタケやヒラタケを収穫する


秋は、晩秋から冬に採れるナメコやエノキタケを仕込みます。


収穫面で言えば、ヒラタケの他、シイタケが採れます。


この時期も発生適期であるきのこは多そうです。

冬はエノキタケやシイタケ、ナメコを仕込み、エノキタケやナメコを収穫する


冬は、冬のうちに収穫できるエノキタケやナメコの他、春に向けてシイタケを仕込みましょう。


収穫面でいえば、エノキタケやナメコが収穫できます。この時期は低温に強いこれらのきのこが収穫の主戦力になります。乾燥する季節でもあるのできちんと加湿しましょう。

いくつかの注意点


このカレンダーは、もれ郎がいろんな公開情報(培養適温、発生適温、培養日数、発生操作から収穫までの日数)をかき集めて参考にし、機械的に作ったものです。実体験に基づくものではないのでご注意ください。


また、これは中間地を想定して作成しているので、寒冷地や暖地の場合は少し時期をずらして考える必要があります。


本記事では仕込み時期のおすすめ季節を書きましたが、培養は時期問わず屋内がおすすめです。


関連記事:どこできのこを育てればいいの?押さえるべき5つのポイントやおすすめの場所をご紹介!【培養編】 - さかなきのこ



そして、種菌作りから始める場合は、種菌づくりにだいたい一か月かかりますので、カレンダーの接種時期から一か月前倒しした時期から作業を開始しましょう。さらに、きのこを分離するところから始める場合は、失敗する可能性も考慮してさらに一か月前倒しに開始します。時間がかかるなら種菌づくりなんて待てないという方は、購入してしまうのもおすすめです。


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おわりに:一年中きのこ栽培を楽しもう!


今回は、「きのこ栽培しようと思ってるけど、いつ始めようかなー」と悩んでいる方に向けて、いつでもできますよ、ということをお伝えしてみました。


もちろん、「あのきのこが栽培したいんじゃー」という方は、今すぐにはできないかもしれません。そんなときは、今回ご紹介したカレンダーを見て、いつ栽培を開始すればよいのか計画を立ててみてください。


時間に余裕があるようであれば、種菌づくりからやってみるというのもいいかもしれませんよ。



もれ郎

(参考文献)
標準技術集「きのこの栽培方法」, 特許庁
・「キノコの営利栽培」, 木村榮一
「きのこの栽培法」, 株式会社キノックスwebサイト
「タモギタケ栽培マニュアル」, 三重県
「菌床シイタケ栽培技術指針」, 徳島県