さかなきのこ

元きのこ研究者による、きのこ栽培の魅力発信ブログ

【自作】きのこ栽培容器「ショットガン・フルーティングチャンバー(SGFC)を100均の材料で作ってみた

【自作】きのこ栽培容器「ショットガン・フルーティングチャンバー(SGFC)を100均の材料で作ってみた

居心地のよい環境が欲しいですよね。あなたも。私も。そしてきのこも。
そういうのは他人任せにせず、自分で作っていきましょう。
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どうも、元きのこ研究者のもれ郎です。


きのこを栽培する場所に悩むって方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。


「栽培キットだと付属の容器とか袋とかあったけど、自分で菌床を作った場合はどうするの?」


「なんか菌床とかきのこを乾かすなとか言うけど、加湿器なんか買ってられないよ」


そんなあなたに朗報です。1,000円以内でつくれちゃうきのこ栽培容器「ショットガン・フルーティングチャンバー(以下、SGFC)」をご紹介したいと思います。


SGFCを使えば、多少のメンテナンスできのこの発生に最適な環境を作り出すことができます。


このSGFCは海外で考案されたきのこ栽培用の簡易容器です。海外ではイケナイキノコの自家栽培が盛んであり、その中で洗練されていった技術の一つです。


その特徴は、保湿と換気の両立。菌床が乾燥してしまえば当然きのこやきのこの芽は生えませんし、きのこ自体も乾燥してしまうと途中で生長が止まったり傷んだりします。また、換気が不十分だときのこが生えなかったり奇形になったりします。


これを解決するのがSGFCです。もちろんメンテナンスは必要ですが、過度に面倒なことはなく簡単に維持することができます。


もれ郎、自分でも作ってみました。作り方や使い方を紹介しますので、「きのこ栽培をもっとうまくやりたいなあ」と思っているあなた、ぜひ試してみてください。


ショットガン・フルーティングチャンバー(SGFC)の材料

  • 収納ボックス
  • パーライト
  • ドリル(インパクトドライバー)


たったこれだけです。順番に解説していきます。


ショットガン・フルーティングチャンバー(SGFC)の材料


収納ボックスですが、60L前後のものが使われることが多いようです。もれ郎は今回も材料を100均で調達したので、一番大きな20Lの収納ボックスを購入しましたがけっこう小型ですね。海外準拠ならネットで探しましょう。


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パーライトは真珠岩を原料とした保水性の高いものを使います。ダイソーのものは真珠岩が原料ですので問題ありません。粒度は大きいほうが湿度の維持や容器からこぼれないという点で良いらしいです。


ドリルは穴が開けられればなんでもいいです。もれ郎は家にあった掃除機とのバッテリー互換の関係でマキタのインパクトドライバーを、今回これを作るためだけにわざわざ買いました。


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ドリルピットは1/4/インチが典型とされていますが、100均にはなかったので5mmのものを使っています。


総材料費は770円です(インパクトドライバー本体除く)。なんと経済的!

ショットガン・フルーティングチャンバー(SGFC)の作り方


作り方といっても大したことはありません。2ステップでできます。若干面倒くさいですが1時間もかかりません。

収納ボックスに穴を開ける


収納ボックス


名前の由来にもなる穴を収納ボックスのあちこちに開けます。


穴は全面に満遍なく開けます。底面にも開けます。


「後で入れるパーライトがこぼれるじゃん。底とか側面の下の方は穴あけなくて良くない?」と思ったあなた。もれ郎もそう思います。


でも、作るに当たり参考にしてたサイトに「もう十分最適化されてるんだから、ど素人が下手なアレンジすんな」といったニュアンスの注意書きがあり(外部リンク)、もれ郎は日和りました。勇敢なる挑戦者の方はぜひやってみてください。


さて、穴の開け方ですが、典型的には2インチの間隔で開けるとのことです。つまり約5cm間隔で開けます。


メジャーと油性ペンで印をつけている


メジャーと油性ペンで印をつけていきます。面の真ん中を基準にして、上下左右に印を広げていけばバランスが取りやすいです。


印をつけ終わったら、ドリルで穴を開けます。穴のサイズは前述の通1/4インチ(7.5mm)が典型とのことですので、できればこれを入手します。


穴を開けた収納ボックス


全面に穴をあけ、蜂の巣、もといスイスチーズにしてやれば第1ステップは完成です。

水を吸わせたパーライトを入れる


保湿用のパーライトを入れます。先にパーライトを別の容器で水浸しにしておいて、水を切りつつ容器に入れていくのが良さそうです。


水浸しにするときに少し洗ってやります。細かな粒子が落ち、汚れにくくなります。米とぎの要領でざっと混ぜる程度で十分です。こすり合わせるとつぶれちゃいますので。


パーライト層の厚さはあまり重要ではないらしいですが、薄ければ薄いほど保湿性能が下がる気がします。しかし、パーライトから蓋までの高さは換気の関係で割と重要らしく、12cmくらい欲しいなどと言われています。もれ郎は100均の20L容器に100均のパーライト2Lを2袋入れましたが、これでパーライトの厚さも空間の高さも十分確保できている気がします。


穴を開けた収納ボックスにパーライトを入れた


これで完成です。

ショットガン・フルーティングチャンバー(SGFC )の使い方


SGFCに菌床をセットした


あとは菌床をセットするだけです。栽培キットを買った方は、さっそくこの中で育てていきましょう。写真のように、温度計などをセットしてもよいかもしれません。


パーライトの上に受け皿を置いておくと、菌床を動かすたびにパーライトが飛び散らないのでいいですね。


あとは、収穫するまでのメンテナンスを行っていきます。重要なのは、湿度の維持のための加水と積極的な換気です。


湿度については、海外のサイトを見ると数日に一回加水すればよいと書いてあります。水を足すときはスプレーボトルなどを使い、直接きのこや菌床にかけず、壁面やパーライトにかけるようにします。


あとは換気です。これだけ穴だらけにしていますが、一日に二程度、蓋をはずして扇いでやることが求められます。


うーんこれは地味に面倒くさい。


その他のポイントとして、温度は適温でやってください。光については、直射日光が当たらない明るめの場所がいいです。直射日光が当たると温度が上がりすぎるようです。真っ暗だときのこが発生しないですよ。

実際に使ってみた乾燥(随時加筆予定)


まだきのこの発生までは見たわけではないのですが。とりあえず数日菌床を置いてみた感想です。


まず、割と乾きます。パーライトを触ってみるとカサカサです。水やりもスプレーボトルだと時間がかかってしょうがないです。一方で、穴だらけだからといって水をだばだば入れると穴からパーライトが漏れ出てしまいそうです。うーん、これは丁度いい塩梅を探っていくしかないですね。


そもそも湿度を図る手段を持っていませんでした。前々から気になっていたSwitchBotの温湿度計、ついに買うときが来たかもしれません。


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あと、これは乾燥のせいかもしれませんが、やっぱりパーライトが溢れます。もれ郎は部屋の中にSGFCを置いているのですが、これは結構家族からお叱りをもらいます。蓋を開けたりするたびにホロホロ出てきますね。


さらに、まだ換気面の性能がまったくわかりません。つまり容器内の二酸化炭素濃度がどの程度であるのかが未知です。きのこが生えればある程度わかりそうですが、これも数値化する必要があるかもしれません。幸い、近年は高性能なCO2センサーが安く手に入りますし。


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おわりに:これで湿度管理からは解放される……のか?


日本ではほとんど紹介されていないきのこ栽培用容器、ショットガン・フルーティングチャンバー(SGFC)を実際に作成してみました。完全とは言えないまでも、適度な湿度を保ちつつある程度換気もできるということで、きのこの栽培管理をより簡単に済ませるための、海外発のメソッドです。


実際に作ってみると、100均の材料でほぼ完結し安価に作れました。皆さんが真似しやすいという意味ではかなり魅力的なものだと思います。


しかし課題もありそうです。これはもれ郎が正直使い方を見極められていないだけのような気もするのですが、どこまでいっても湿度や換気の管理から開放される気はあまりしないですね。日に何回は面倒をみてやる必要があるわけですし。


今回は紹介していないですが、海外ではマルサ(Martha)という栽培専用の棚が考案されています。これに手を出すしかないのか……でもこれは場所も取るし金もかかるしで参入障壁がぐっと高くなってしまいます。もれ郎が皆さんに紹介したいのは、そういうものではないのですよ。


マルサは私の趣味としてはどこかで作りあげたいと思いますが、皆さんがもっと楽にきのこを栽培できる環境を構築できないか、探索の旅はまだまだ続きそうです。



もれ郎