
どうも、元きのこ研究者のもれ郎です。
「きのこの栽培を身近にしたい」。その一心で、殺菌や無菌操作が不要の栽培方法を検討しています。このブログでは『無殺菌栽培』と称している方法です。
通常、菌床は次のような手順で作ります。
②殺菌した培地に種菌を無菌的に接種する
③培養する
この方法の致命的な問題は、家庭で真似するのが難しいことです。殺菌設備がない、無菌操作のスキルがない方には致命的です。
この問題を解決しようとして取り組んでいるのが無殺菌栽培です。要は、培地は殺菌しないし、接種するときの無菌操作も必要ない菌床の作り方です。そんな都合のよい栽培方法はあるのでしょうか。
実はもれ郎、実用化レベルとは言えないものの成功しています。作業はただ混ぜて放置するだけ。未就学児でもできるくらいの簡単さ
です。
今回は、もれ郎がこれまで試してきた無殺菌栽培の方法を解説し、誰でもできる菌床の作り方をお伝えしたいと思います。
それと同時に、この無殺菌栽培法の課題もお伝えしたいと思います。この方法には致命的な解決すべき課題が残っているのです。このブログを読んでくださる方のお知恵も借りたいと思い、未完成ながらも公開することといたしました。
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誰でもできるきのこ菌床(無殺菌栽培用)の自作方法
最初にイメージを示しておきます。

こんな感じで栽培します。いたってシンプルです。
ということで、まずは材料を用意しましょう。
用意するもの
・ヤシガラ培土
・水
・栽培容器
きのこの種菌は自作のものでも良いですが、最初は購入したものをおすすめします。種菌はホームセンターなどでは通常売っていないので、種菌メーカーから取り寄せましょう。
関連記事:きのこの種菌の買い方を解説。どこで何を買えばいいの?気を付けることは? - さかなきのこ
ヤシガラ培土は100均のものでOKです。栽培容器は自作できます。作り方は100均タッパーできのこ栽培容器を作った(3号器)で紹介しています。
関連記事:100均タッパーできのこ栽培容器を作った(3号器) - さかなきのこ
材料が準備できたら、早速作っていきましょう。
手順1:きのこの種菌をほぐす

きのこの種菌をほぐします。スプーンで掻き出して、さらに細かくほぐしておきます。
手順2:ヤシガラ培土と種菌をまぜる

ヤシガラ培土に水を加え、種菌と混ぜ合わせます。これが菌床の元になります。
水を加える量は、ヤシガラ培土を手でぎゅっと握ると水が染み出るくらいを目安とします。
圧縮されているタイプのヤシガラ培土は熱湯で戻すと戻りが早いですが、その場合やけどに注意してください。室温くらいに冷めるまで待ってから種菌と混ぜあわせましょう(ただし数日放置しないこと)。
ヤシガラ培土と種菌の分量は、体積比で1:1〜3:1くらいまでにしておくとよいです。種菌が多いほど失敗しにくいです。少なすぎると種菌できのこを栽培しているような状態ですので、割高になりおすすめできません。
手順3:培養する

手順2で作った菌床の元を栽培容器に詰めます。
詰める量は、容器の体積の6割くらいの重さになるのが目安です。例えば、1Lの容器であれば600gくらいになるように詰めます。けっこうぎゅっと押し付ける感じになると思います。
これで準備は完了です。あとは培養するだけです。培養場所についてはどこできのこを育てればいいの?押さえるべき5つのポイントやおすすめの場所をご紹介!【培養編】で解説していますので、こちらもあわせて読んでみてください。
関連記事:どこできのこを育てればいいの?押さえるべき5つのポイントやおすすめの場所をご紹介!【培養編】 - さかなきのこ

数週間すると菌糸が伸びてきて白っぽくなります。室温で一か月程度培養するのが無難です。完成の目安はこれと言ってないですが、菌糸が生えてきて菌床全体がぎゅっと固まっていればOKです。
培養中にきのこが生えてくることがあると思いますが、これを培養完了の目安とするのもアリでしょう。発生操作をして、きのこを発生させましょう。
発生操作は、培地の表面を削り(菌掻き)、一晩ほど灌水し、発生に適した環境に置くことです。適宜赤玉土で覆土します。
ちなみに、このように作った菌床を種菌として、きのこを栽培しつつ手順1を繰り返し拡大することもできます。絵にするとこんな感じです。

うまく行けば、ヤシガラ培土を足し続ける限り無限にきのこを栽培できます。
ちなみに、このように作った場合、培養期間は長めにとったほうが良いと思われます(理由は後述)。
無殺菌栽培の今後の課題
以上が無殺菌栽培の方法ですが、課題は盛りだくさんです。具体的には次のような課題があります。
・課題2:無限に菌床を作れるわけではない
・課題3:この方法では菌床を作れない種類のきのこがある
それぞれ解説していきます。
課題1:きのこの収穫量は期待できない

この方法ではきのこは発生するにはしますが、そんなにたくさんの量は収穫できません。
ちょうど上の画像がウスヒラタケをこの方法で栽培したときの写真です。市販のきのこ栽培キットをイメージすると少々期待はずれになるかもしれないです。
原因は特定できていませんが、培養条件の割に割に培養期間が短いことが原因ではないかと考えています。
もれ郎は短気なのであまり長く待つことができず、培地組成を工夫して改善したいなと思っています。しかし、あまりうまくいっていません。しかも培養を長期化したところでこの問題を解決できるという確信もないです。
このあたり、皆さんのアイデアもぜひいただきたいところです。
課題2:無限に菌床を作れるわけではない
先ほどの図で示したように、菌床自体を種菌として拡大培養することもできるにはできます。ただ、これは無限に続けられるわけではないようです。
拡大し続けていくと弱っていくのか、だんだん菌糸が生えてこなくなります。こちらも原因は不明です。

実例として、夏場に2週間サイクルで培養した場合、大体3回くらいから怪しくなってきます。今にして思うと、これは明らかに培養期間が短すぎました。
ではなぜ最初の数回は培養できたのでしょうか。これはおそらく、成否が元の種菌に依存しすぎているのだと思います。つまり、拡大した菌床は元の種菌ほど"元気"ではないのだろうな、ということです。
菌床を"元気"にしようとすると、やはり培養期間を長めにするのがよいと思われます。そうすると、ヤシガラ培土をきのこに十分に食べさせることができるからです。
課題3:この方法では菌床を作れない種類のきのこがある
この栽培方法できのこを発生させられているのは、ウスヒラタケとトキイロヒラタケの2種類のみです。未確認のきのこのほうが多い現状ではありますが、この方法ではうまくいかない種類のきのこがいると思われます。

例えばタモギタケで自作種菌を用いた実験では、拡大2回目で失敗しています。トキイロヒラタケは自作種菌の無殺菌栽培できのこの収穫まで持っていけているので、自作種菌自体が悪いというわけではなさそうです。
ちなみに、以上の3種はいずれも、一般的に栽培が簡単と言われているヒラタケの仲間です。これが他のきのこ(例えばシイタケとかマイタケ)となると、この方法による栽培が難しいというものもあるかもしれません。
おわりに:もれ郎の検討は続く(お友達募集中)

以上、誰でもできる菌床の自作方法をご紹介しました。「誰でもできる」というところについては嘘偽りないと自負しています。
ただ、現時点ではやはり「誰でも家庭で菌床きのこ栽培ができるようになりました!」とは言えません。きのこ栽培はやはり収穫量があってこそ。そこに致命的な未解決課題を抱えている以上、これはどこまでいっても「菌床の作り方」でしかないのです。
いつか本当に「誰でも家庭で菌床きのこ栽培ができるようになりました!」と胸を張って言えるよう、もれ郎は検討を続けていきます。
とはいえ、もれ郎が一人でできることはそろそろ限界が近いようです。そこで、もれ郎と一緒に無殺菌栽培の方法を開発してくれるお友達を募集します。
具体的には、もれ郎が(種用法に抵触しない方法で)種菌を分譲するので、もれ郎のアイデアを検証してくださったり、自ら栽培方法を提案し実験してくれたり、もれ郎とディスカッションしてくださるお友達を探しています。
ご興味がある方は、X(旧Twitter)のDMまたは問い合わせ先までご連絡ください。
もれ郎