さかなきのこ

元きのこ研究者による、きのこ栽培の魅力発信ブログ

【雑記】きのこ発生後の培地にカビが生えた。トリコデルマ?表面だけの処理は無意味かも。

どうも、もれ郎です。


第1回目栽培で使った培地の二回目発生を狙っていたら、1つにカビが生えました。きのこ栽培も、最初うまくできても、そのあとずっとうまくいくとは限りません。
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トリコデルマに侵された培地


この写真の右上です。なんのカビかよくわかりませんが、おそらく「トリコデルマ属菌(Trichoderma spp.、以下トリコデルマ)」だと思います。


【目次】

トリコデルマ?


トリコデルマは、森林総合研究所 九州支所の研究成果普及シリーズ(外部リンク)、4ページ目に写真があるように、白とか緑色の見た目をしたカビです。きのこにとっては天敵のような存在です。


そもそも、きのこがいる環境は他の多くの菌類にとっても都合のよい環境です。きのこ栽培の環境はきのこに都合のよい環境を作り出しているので、当然きのこ以外の菌も生えてくることがあります。


その中には、病害菌といえるような栽培にとって不都合なものもいますが、特に害がないようなものいる、ともれ郎は考えています。


後者は今素材がないので例示できないのですが、菌床の表面の干からびた菌糸や古くなった培地のくずに生えているものは、あまり問題ない気がします。


こいつらはきのこ菌糸を攻撃するわけではないので、きのこが元気であれば抵抗することができるのです。例えるなら、菌類同士で自分の陣地(培地)の奪い合いをしているのような状態だと考えられます。


一方、トリコデルマは前者にあたります。トリコデルマは、他の菌類の生長を抑制し、さらに攻撃することで、自分の餌にしています。この性質のことを「菌寄生性」といいます。


もちろん、最初はきのこも抵抗するのだと思います。しかし、菌寄生性の菌は攻撃力が高いため、いったんきのこが劣勢になってしまうと、あとは侵食される一方です。


さらに悪いことに、トリコデルマは「分生子(ぶんせいし)」という胞子を菌糸の先端につくります。この分生子が風や虫、水によって拡散することで、被害が拡大していきます


どうでしょう。トリコデルマ。怖いですね。(ただ、生産現場レベルだと、あまり問題視しないような考え方もあるみたいですね。たとえば、新潟県森林研究所の森林研究所たより(外部リンク)


ということで、もれ郎宅に発生したトリコデルマに侵された(と思われる)培地を見てみましょう。


トリコデルマに侵された培地


右上が侵されている箇所です(黒くなっているところは、もれ郎がほじくりました)。拡大してみましょう。


トリコデルマに侵された培地の拡大写真


なんだかぽわぽわした塊と、ふわっとした菌糸がありますね。「ぽわ」の先端や、「ふわ」の緑色っぽくなっているところは、分生子を作っているものと思われます。

トリコデルマは見た目で区別できる?


正直もれ郎にはわかりません。慣れると雰囲気でわかるのかもしれませんが、もれ郎には判別できるほどの経験値がありません。


ぶっちゃけると、この写真のやつは1回検証したから「ヤバいやつだ」と気づいたという経緯があります。右上の黒くなっている、もれ郎がほじくった箇所。最初は、ここにしかぽわぽわが生えていませんでした。表面を削り落として数日後、この写真のように広がってしまったのです


トリコデルマに侵された培地


慣れないうちは、カビが出たら基本的にはやばいやつだと思って処理するのがよいでしょう。時期によっては、ハエ等も寄ってくるので、精神的な被害も起きます。ハエ等が分生子を拡散することもあるので、シャレになりません。

対処?


対処法については、明確なことは言えません。経験値も少ないので。ただ、もれ郎の管理方針は「疑わしきも罰する」です。


写真のようになってしまった場合、再度表面のカビを除去してもなんとかならない場合が多いです。内側まで侵されていることでしょう。


こういう培地は早めに捨ててしまいたいところですが、どうしても栽培を続けたい場合は広めに除去してみましょう。カビに侵されている範囲の二回りとか三回りほど外側でほじくり落とすイメージです。


うまくいけば、まだきのこが生えてくるかもしれません。ただ、すでに攻撃をくらっているので、どうにもならないことも多いでしょう。


もれ郎は、今回の培地は処分してしまいました。こんな感じで、たまには苦戦しながら、きのこ栽培を楽しんでいきたいと思います。



もれ郎